黒澤明 監督作品 '50年代黄金期
戦に破れ、美しい姫を連れて隠し砦に逃げ込んだ武将が、二人の農民と共に、敵国を脱出するスリリング・アクション時代劇。
それまでの黒澤映画とは少し趣きを変えた、とにかく映画の面白さをストレートに堪能できる作品。やはりこういう理屈抜きに楽しめる作品は海外でも受けるでしょうね。(ベルリン映画祭銀能賞受賞)
映像も重厚です。黒澤時代劇ではもはやお馴染みになっている、森の木立のシーン等、モノクロならではの光と影の表現は、やはり何とも幻想的で美しい。
しかし何よりもこの映画での醍醐味はアクションシーンでしょう。特に三船敏郎が敵を追って馬で格闘するシーン、終盤の騎馬で敵中を突破するシーン、この迫力とスピード感は実に爽快!
この映画、『スター・ウォーズ』に大きな影響を与えたのは有名な話ですね。

『隠し砦の三悪人』 1958(昭和32)年 126分
【脚本】菊島隆三、小国英雄、橋本 忍、黒澤 明 【撮影】山崎市雄
【音楽】佐藤 勝
【出演】三船敏郎、千秋 実、藤原釜足、上原美佐 他
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それまでの黒澤映画とは少し趣きを変えた、とにかく映画の面白さをストレートに堪能できる作品。やはりこういう理屈抜きに楽しめる作品は海外でも受けるでしょうね。(ベルリン映画祭銀能賞受賞)
映像も重厚です。黒澤時代劇ではもはやお馴染みになっている、森の木立のシーン等、モノクロならではの光と影の表現は、やはり何とも幻想的で美しい。
しかし何よりもこの映画での醍醐味はアクションシーンでしょう。特に三船敏郎が敵を追って馬で格闘するシーン、終盤の騎馬で敵中を突破するシーン、この迫力とスピード感は実に爽快!
この映画、『スター・ウォーズ』に大きな影響を与えたのは有名な話ですね。
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【脚本】菊島隆三、小国英雄、橋本 忍、黒澤 明 【撮影】山崎市雄
【音楽】佐藤 勝
【出演】三船敏郎、千秋 実、藤原釜足、上原美佐 他
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ロシアの作家ゴーリキーの戯曲の映画化。人生のどん底にも例えられる簡易宿泊所を舞台に、泥棒、元男爵、アル中の役者、売春婦が織りなす人間模様の中に、老巡礼ルカーと浮浪者サーチンの対抗の哲学を対置し、作者の人生哲学を訴える・・・(原作のあらまし)
この映画では元男爵が元旗本の殿様だったり、老巡礼者がお遍路の爺さんだったり、完全に江戸時代の日本の設定に置き換えられています。
はっきり言ってこの作品、映画としては全然面白くない。何を云わんとするか、どこが哲学なのか、アホの私には全然わからなかった(T_T)。ゴーリキーの下層社会を描くリアリズム文学と、黒澤監督独自のリアリズム表現との融合?。(この手の本をむさぼるように読んでないと、よくわからないのでしょうね)
とにかく私には、こういう映画はわかりやすくも難解です(^^;)。


『どん底』 1957(昭和32)年 125分
【脚本】小国英雄、黒澤 明 【撮影】山崎市雄 【音楽】佐藤 勝
【出演】三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、左 卜全 他
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この映画では元男爵が元旗本の殿様だったり、老巡礼者がお遍路の爺さんだったり、完全に江戸時代の日本の設定に置き換えられています。
はっきり言ってこの作品、映画としては全然面白くない。何を云わんとするか、どこが哲学なのか、アホの私には全然わからなかった(T_T)。ゴーリキーの下層社会を描くリアリズム文学と、黒澤監督独自のリアリズム表現との融合?。(この手の本をむさぼるように読んでないと、よくわからないのでしょうね)
とにかく私には、こういう映画はわかりやすくも難解です(^^;)。
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『どん底』 1957(昭和32)年 125分
【脚本】小国英雄、黒澤 明 【撮影】山崎市雄 【音楽】佐藤 勝
【出演】三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、左 卜全 他
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シェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えて、翻案された作品。
...戦国武将の家臣だった鷲津武時(三船)は、妖婆に「貴方は城主になる」と予言される。そして武時の妻からもそそのかされて、時の城主を暗殺。予言通り武時は城主になったが、元同僚の存在が邪魔になり、彼もまた亡き者にしてしまう。武時はもはや絶対君主として君臨するが、栄華は長く続かなかった...。
お話も面白いですが、とにかく映像が素晴らしい!です。舞台となる森や蜘蛛巣城の、何とも妖気ただよう雰囲気。また日本の古典的な様式を取り入れた映像美。それら一つ一つのシーンがどれも絵になっていて、黒澤監督ならではの映像表現のこだわりを感じさせられます
日本独自の表現形式を用いて、映像を美術的にまで仕立て上げてしまった。後の『影武者』や『乱』へとつながる黒澤風歴史劇のスタイルを確立した作品だといえるでしょう。
さらに特筆すべきはクライマックス、主人公(三船敏郎)が絶命するラストシーンは圧巻!の一言。

『蜘蛛巣城』 1957(昭和32)年 110分
【脚本】小国英雄、橋本 忍、菊島隆三、黒澤 明 【撮影】中井朝一
【音楽】佐藤 勝
【出演】三船敏郎、千秋 実、山田五十鈴、志村 喬 他
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...戦国武将の家臣だった鷲津武時(三船)は、妖婆に「貴方は城主になる」と予言される。そして武時の妻からもそそのかされて、時の城主を暗殺。予言通り武時は城主になったが、元同僚の存在が邪魔になり、彼もまた亡き者にしてしまう。武時はもはや絶対君主として君臨するが、栄華は長く続かなかった...。
お話も面白いですが、とにかく映像が素晴らしい!です。舞台となる森や蜘蛛巣城の、何とも妖気ただよう雰囲気。また日本の古典的な様式を取り入れた映像美。それら一つ一つのシーンがどれも絵になっていて、黒澤監督ならではの映像表現のこだわりを感じさせられます
日本独自の表現形式を用いて、映像を美術的にまで仕立て上げてしまった。後の『影武者』や『乱』へとつながる黒澤風歴史劇のスタイルを確立した作品だといえるでしょう。
さらに特筆すべきはクライマックス、主人公(三船敏郎)が絶命するラストシーンは圧巻!の一言。
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【脚本】小国英雄、橋本 忍、菊島隆三、黒澤 明 【撮影】中井朝一
【音楽】佐藤 勝
【出演】三船敏郎、千秋 実、山田五十鈴、志村 喬 他
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原水爆実験による人類の危機を叫ぶ老人と、そんな警鐘を冷ややかにとらえる家族・世間との対比を描いた、ちょっとメッセージ色の強い映画。
これは失敗作として名高い作品ですね。確かに黒澤映画のダイナミズムやヒューマニズムに心酔しているファンにとっては、ちょっと物足りない感じがします。
前作『七人の侍』でパワーを使い果たしてしまったか。というか万人に受けた大ヒット作の次には、独自性の強い作品を作りたくなるのが作家の心情なのかもしれません。
印象的なのは、終盤の精神科医のセリフ、「あの老人と、こんなご時勢に平然と生きてる我々と、どちらが狂人なのだろう」。あらためて黒澤監督の、真理を追求する姿勢と時代を杞憂する深い洞察眼が、この作品にも込められているように思います。
それと、老け役を三船敏郎が、見事に演じきってますね。また恐怖感漂う音楽(※)も耳に残ります。
※早坂文雄(音楽担当)の遺作。


『生きものの記録』 1955(昭和30)年 103分
【脚本】橋本 忍、小国英雄、黒澤 明 【撮影】中井朝一
【音楽】早坂文雄、佐藤 勝
【出演】三船敏郎、志村 喬、千秋 実、青山京子 他
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これは失敗作として名高い作品ですね。確かに黒澤映画のダイナミズムやヒューマニズムに心酔しているファンにとっては、ちょっと物足りない感じがします。
前作『七人の侍』でパワーを使い果たしてしまったか。というか万人に受けた大ヒット作の次には、独自性の強い作品を作りたくなるのが作家の心情なのかもしれません。
印象的なのは、終盤の精神科医のセリフ、「あの老人と、こんなご時勢に平然と生きてる我々と、どちらが狂人なのだろう」。あらためて黒澤監督の、真理を追求する姿勢と時代を杞憂する深い洞察眼が、この作品にも込められているように思います。
それと、老け役を三船敏郎が、見事に演じきってますね。また恐怖感漂う音楽(※)も耳に残ります。
※早坂文雄(音楽担当)の遺作。
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『生きものの記録』 1955(昭和30)年 103分
【脚本】橋本 忍、小国英雄、黒澤 明 【撮影】中井朝一
【音楽】早坂文雄、佐藤 勝
【出演】三船敏郎、志村 喬、千秋 実、青山京子 他
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ドストエフスキーの小説を基に、舞台を北海道に移し換えて映画化した作品。
白痴であるが故に純粋無垢な心を持った男が、泥々した情念渦巻く現実世界に巻き込まれながら、どう生きていけるのかが描かれている(?)。
原作の「※白痴」は、「真に美しい人間」を描こうとした小説であるらしいのですが、汚濁にまみれた人間社会に埋没できないが為に、最後悲劇に終わってしまうのは、何とも切ない想いに駆られます。
相矛盾する人間と社会の不条理・・・こういうテーマ自体は好きなんですけど、あまり文学・芸術的に描かれると、ちょっと私には難解に感じられてしまうのです。(もっとも何が文学で芸術なのかも、私には全然わからないのですが^^;)
白黒映像のコントラストが、人生の明暗を映し出してるようで、そんな風に私はどうしても単純に映像的に観てしまうのでした。(それにしてもこの映画での原節子さんとっても怖〜い。余談^^;)
※ドストエフスキーの長編小説、1868年作。善と寛容の支配する社会の実現を願う、純粋な心の持ち主ムイシキン公爵の理想と努力が、現実生活の中に打ち砕かれるまでの人生の明暗を描く。


『白痴』 1951(昭和26)年 166分
【脚本】久板栄二郎、黒澤 明 【撮影】生方敏夫 【音楽】早坂文雄
【出演】森 雅之、三船敏郎、原 節子、久我美子 他
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白痴であるが故に純粋無垢な心を持った男が、泥々した情念渦巻く現実世界に巻き込まれながら、どう生きていけるのかが描かれている(?)。
原作の「※白痴」は、「真に美しい人間」を描こうとした小説であるらしいのですが、汚濁にまみれた人間社会に埋没できないが為に、最後悲劇に終わってしまうのは、何とも切ない想いに駆られます。
相矛盾する人間と社会の不条理・・・こういうテーマ自体は好きなんですけど、あまり文学・芸術的に描かれると、ちょっと私には難解に感じられてしまうのです。(もっとも何が文学で芸術なのかも、私には全然わからないのですが^^;)
白黒映像のコントラストが、人生の明暗を映し出してるようで、そんな風に私はどうしても単純に映像的に観てしまうのでした。(それにしてもこの映画での原節子さんとっても怖〜い。余談^^;)
※ドストエフスキーの長編小説、1868年作。善と寛容の支配する社会の実現を願う、純粋な心の持ち主ムイシキン公爵の理想と努力が、現実生活の中に打ち砕かれるまでの人生の明暗を描く。
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『白痴』 1951(昭和26)年 166分
【脚本】久板栄二郎、黒澤 明 【撮影】生方敏夫 【音楽】早坂文雄
【出演】森 雅之、三船敏郎、原 節子、久我美子 他
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戦後、言論の自由の名のもとに、俗悪なスキャンダルを垂れ流すマスコミの傾向を批判した、先進的な作品。
今でこそありきたりのテーマですが、この時代にいち早く言論の暴力を杞憂し、メッセージを発する辺りは、やはり黒澤監督の世相を見据える洞察眼は鋭いと言わざるをえません。
そういった社会風刺と共に、悪徳弁護士(志村喬)の姿を温かい眼で捉えた人間ドラマも描かれており、作品がより重厚になっていると思います。
しかし黒澤監督は後に、「醜聞という映画は甘すぎた」と語っています。確かに今となってはスキャンダル訴訟など既に大衆の感覚が麻痺してしまう程、報道は暴走しすぎてしまっている。この問題を初期に提示した時点で、作品を通してもっと徹底的に闘えばよかった、という監督の悔恨の念はわかるような気がします。
またこの映画のシナリオ作りでは、タイトルの社会的テーマとは別に、弁護士の物語を書いているうち、まるで生き物のように筆が動いた、との事。
そう、映画監督はただの批評家ではない。
『醜聞』は、社会派映画という枠組みを越えた、映画作家によって描かれた表現作品だと捉えるべきなのでしょう。


『醜聞(スキャンダル)』 1950(昭和25)年 105分
【脚本】黒澤 明、菊島隆三 【撮影】生方敏夫 【音楽】早坂文雄
【出演】三船敏郎、志村 喬、山口淑子 他
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今でこそありきたりのテーマですが、この時代にいち早く言論の暴力を杞憂し、メッセージを発する辺りは、やはり黒澤監督の世相を見据える洞察眼は鋭いと言わざるをえません。
そういった社会風刺と共に、悪徳弁護士(志村喬)の姿を温かい眼で捉えた人間ドラマも描かれており、作品がより重厚になっていると思います。
しかし黒澤監督は後に、「醜聞という映画は甘すぎた」と語っています。確かに今となってはスキャンダル訴訟など既に大衆の感覚が麻痺してしまう程、報道は暴走しすぎてしまっている。この問題を初期に提示した時点で、作品を通してもっと徹底的に闘えばよかった、という監督の悔恨の念はわかるような気がします。
またこの映画のシナリオ作りでは、タイトルの社会的テーマとは別に、弁護士の物語を書いているうち、まるで生き物のように筆が動いた、との事。
そう、映画監督はただの批評家ではない。
『醜聞』は、社会派映画という枠組みを越えた、映画作家によって描かれた表現作品だと捉えるべきなのでしょう。
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『醜聞(スキャンダル)』 1950(昭和25)年 105分
【脚本】黒澤 明、菊島隆三 【撮影】生方敏夫 【音楽】早坂文雄
【出演】三船敏郎、志村 喬、山口淑子 他
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日本映画の存在を世界に知らしめた、ヴェネチア映画祭グランプリ受賞作品。
この映画今観ると、さほど斬新さは感じませんが、当時としては画期的作品だったようです。特に代表的なのが、「木漏れ陽」の逆光線撮影。当時はタブーとされていた手法を、黒澤監督が初めて採り入れたのです。今では当たり前のように観られる事から、この映像シーンが、後の映画を含めたビジュアル界にいかに影響を与えているか、窺い知る事ができます。
ただ映画の内容の方は、頭の悪い私にはちょっと理解しにくいなあ(^^ゞ。ここは作者(黒澤監督)の説明を一部引用してみましょう。
「人間は自分自身について正直な事は云えない。虚飾なしには自分について話せない。そういう虚飾なしには生きていけない人間というものを描いているのだ。いや死んでも、そういう虚飾を捨て切れない人間の業の深さを描いているのだ。これは人間の持って生まれた罪業、人間の度し難い性質、利己心(エゴ)が繰り広げる奇怪な絵巻なのだ・・・」(自伝 「蝦蟇の油
」より)
そうした人間の奇怪な心の動きを、怪しく錯綜した光と影の映像で表現してみたかったのだそうです。なるほど、確かに(私のような)庶民の感覚からは少しかけ離れた、高度な表現なんですね。雰囲気はなんとなくわかるのですが...
ま、内容はともかくとして(^^;)、黒澤監督が「白黒映像芸術」を確立した重要な作品である事は確かでしょう。


『羅生門』 1950(昭和25)年 121分
【脚本】黒澤 明、橋本 忍 【撮影】宮川一夫 【音楽】早坂文雄
【出演】三船敏郎、京マチ子、森 雅之、志村 喬、千秋 実 他
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この映画今観ると、さほど斬新さは感じませんが、当時としては画期的作品だったようです。特に代表的なのが、「木漏れ陽」の逆光線撮影。当時はタブーとされていた手法を、黒澤監督が初めて採り入れたのです。今では当たり前のように観られる事から、この映像シーンが、後の映画を含めたビジュアル界にいかに影響を与えているか、窺い知る事ができます。
ただ映画の内容の方は、頭の悪い私にはちょっと理解しにくいなあ(^^ゞ。ここは作者(黒澤監督)の説明を一部引用してみましょう。
「人間は自分自身について正直な事は云えない。虚飾なしには自分について話せない。そういう虚飾なしには生きていけない人間というものを描いているのだ。いや死んでも、そういう虚飾を捨て切れない人間の業の深さを描いているのだ。これは人間の持って生まれた罪業、人間の度し難い性質、利己心(エゴ)が繰り広げる奇怪な絵巻なのだ・・・」(自伝 「蝦蟇の油
そうした人間の奇怪な心の動きを、怪しく錯綜した光と影の映像で表現してみたかったのだそうです。なるほど、確かに(私のような)庶民の感覚からは少しかけ離れた、高度な表現なんですね。雰囲気はなんとなくわかるのですが...
ま、内容はともかくとして(^^;)、黒澤監督が「白黒映像芸術」を確立した重要な作品である事は確かでしょう。
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『羅生門』 1950(昭和25)年 121分
【脚本】黒澤 明、橋本 忍 【撮影】宮川一夫 【音楽】早坂文雄
【出演】三船敏郎、京マチ子、森 雅之、志村 喬、千秋 実 他
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『七人の侍』と並んで世界映画史に残る、黒澤監督のヒューマニズム映画の代表作。
余命いくばくもない男が、生きる証として残りの人生を完全燃焼させる姿を通して、人間の生き方を描いた感動的なお話ですが...それを決して叙情的に描くだけでなく、当時の日本の現実を的確にとらえながら、家族や社会のあり方をも問うている。いわばヒューマンドラマに確固たる主張を入れた、とても内容の濃い作品だと思います。
「生きる」という深淵なテーマを堂々と打ち出して、それをひじょうにわかりやすい作品にしてしまうのは、さすが黒澤監督の大胆さを感じます。しかし一つ一つのシーンは繊細で、戦後復興期の光景(役所の職場風景、住宅事情、歓楽街の様子など)が克明に描写されていて、当時の生活や風俗の様子が目に焼き付いてきます。
またなわばりに固執する役所の内部機構への批判は、今も変わらぬ官僚機構の実態を鋭くついていて、私などにはとても痛快に感じられました。
黒澤監督の映画は、作品としてよりも、監督自身の物の見方や考え方にどうしても興味が向いてしまいます。社会の不正や矛盾に対しての怒りが、自身の映画に投影されていて、正義感の強い監督の人間性がうかがえる気がします。
しかし『生きる』での見所はやはり、人間が真に生きる意味を示した事にあるんじゃないでしょうか。黒澤監督はこの映画を作るにあたって、こう自分に問い掛けたそうです。
「どうしたら心安らかに死ねるか・・・」 「・・・その答えはベストを尽くして生きていく事だ」と。
シンプルながら、ひじょうに重みのある言葉です。


『生きる』 1952(昭27)年公開 143分
【脚本】黒澤 明、橋本 忍、小国英雄 【撮影】中井朝一 【音楽】早坂文雄
【出演】志村 喬、小田切みき、伊藤雄之助、金子信雄 他
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余命いくばくもない男が、生きる証として残りの人生を完全燃焼させる姿を通して、人間の生き方を描いた感動的なお話ですが...それを決して叙情的に描くだけでなく、当時の日本の現実を的確にとらえながら、家族や社会のあり方をも問うている。いわばヒューマンドラマに確固たる主張を入れた、とても内容の濃い作品だと思います。
「生きる」という深淵なテーマを堂々と打ち出して、それをひじょうにわかりやすい作品にしてしまうのは、さすが黒澤監督の大胆さを感じます。しかし一つ一つのシーンは繊細で、戦後復興期の光景(役所の職場風景、住宅事情、歓楽街の様子など)が克明に描写されていて、当時の生活や風俗の様子が目に焼き付いてきます。
またなわばりに固執する役所の内部機構への批判は、今も変わらぬ官僚機構の実態を鋭くついていて、私などにはとても痛快に感じられました。
黒澤監督の映画は、作品としてよりも、監督自身の物の見方や考え方にどうしても興味が向いてしまいます。社会の不正や矛盾に対しての怒りが、自身の映画に投影されていて、正義感の強い監督の人間性がうかがえる気がします。
しかし『生きる』での見所はやはり、人間が真に生きる意味を示した事にあるんじゃないでしょうか。黒澤監督はこの映画を作るにあたって、こう自分に問い掛けたそうです。
「どうしたら心安らかに死ねるか・・・」 「・・・その答えはベストを尽くして生きていく事だ」と。
シンプルながら、ひじょうに重みのある言葉です。
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『生きる』 1952(昭27)年公開 143分
【脚本】黒澤 明、橋本 忍、小国英雄 【撮影】中井朝一 【音楽】早坂文雄
【出演】志村 喬、小田切みき、伊藤雄之助、金子信雄 他
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日本映画の代表作であるばかりでなく、世界のアクション映画史に燦然と輝く金字塔。『七人の侍』は、全世界の映画ファンのアンケートをとったら、おそらくBEST10には入る映画じゃないでしょうか。
もちろんリアルタイムで観たわけじゃないけど、テレビやビデオで何回も観たし、リバイバルの映画館にも行きました。そこでは『ニュー・シネマ・パラダイス』の映画館さながら、歓声、拍手、笑いがうずまく、まさに映画と観客が一体となって楽しめた、という良き思い出があります。
「世界のクロサワ」と言われていますが、我々日本人にはあまりピンと来ない。しかし『七人の侍』の製作過程を知る事で、さらにこの映画の傑作たる所以を思い知る事ができるでしょう。
☆
まずシナリオづくり。黒澤監督を含め3人の脚本家たちによって、1ヶ月半以上寝食も忘れるほど、徹底して書き上げられた。映画はシナリオが弱いと駄目だ、そしてドラマは誰もが認める真実でなければいけない、と徹底的に妥協を排し、命を削るようにして創られた、という。
次は撮影の場所選び。本来画家志望だった黒澤監督には、絵のイメージが出来上がっており、それに合った場所を探すのにスタッフは全国を駆け巡った。そして、結局1つの村を撮るために、4ヶ所で別々に撮影を行う事になる。この、映画の中の絵に対するこだわりは半端じゃない。
そして今度は演出。いかに村人を本物らしくするか。黒澤監督は村人全員の家族構成表をつくり、出演する俳優・エキストラ一人一人を割り当て、いつ何時もその家族単位で行動させた。そうする事で、本当の家族のような雰囲気が自ずと出来上がったのである。
またアクションシーンをいかに迫力あるものにするか。撮影所が雪に見舞われ、急遽、降りしきる雨とぬかるみの中での戦闘シーンへと予定を変更。そして当時初めての試みであった、複数のカメラで別々の地点から同時に撮影し編集する、マルチカメラシステムを導入。結果すごいアクションシーンになった。
さらにテーマ音楽は、音楽担当の早坂文雄が作った20曲以上もの中から、選定したという。驚くべき事に、この頃、早坂文雄はすでに余命いくばくもなかった。(映画公開翌年死去)
☆
これら映画製作の過程の一部ですが、この映画づくりに対するエネルギーは常軌を逸しているほど凄まじいものがあります。そうした監督のエネルギーにスタッフ・出演者たちが呼応し、すべてが一体となって、この名作ができあがりました。
天才とは、常人にできない異常な努力を重ねる事ができる人・・・そういった意味での天才によって生み出された最高傑作が『七人の侍』なのです。
※さらに、映画の内容・見所については、姉妹ブログのおすすめ映画 『七人の侍』をご参照ください。


『七人の侍』 1954(昭29)年公開 207分
【脚本】黒澤 明、橋本 忍、小国英雄 【撮影】中井朝一 【音楽】早坂文雄
【出演】志村 喬、三船敏郎、木村 功、宮口精二、加東大介、千秋 実、稲葉義男、
津島恵子 他
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もちろんリアルタイムで観たわけじゃないけど、テレビやビデオで何回も観たし、リバイバルの映画館にも行きました。そこでは『ニュー・シネマ・パラダイス』の映画館さながら、歓声、拍手、笑いがうずまく、まさに映画と観客が一体となって楽しめた、という良き思い出があります。
「世界のクロサワ」と言われていますが、我々日本人にはあまりピンと来ない。しかし『七人の侍』の製作過程を知る事で、さらにこの映画の傑作たる所以を思い知る事ができるでしょう。
まずシナリオづくり。黒澤監督を含め3人の脚本家たちによって、1ヶ月半以上寝食も忘れるほど、徹底して書き上げられた。映画はシナリオが弱いと駄目だ、そしてドラマは誰もが認める真実でなければいけない、と徹底的に妥協を排し、
次は撮影の場所選び。本来画家志望だった黒澤監督には、絵のイメージが出来上がっており、それに合った場所を探すのにスタッフは全国を駆け巡った。そして、結局1つの村を撮るために、4ヶ所で別々に撮影を行う事になる。この、映画の中の
そして今度は演出。いかに村人を本物らしくするか。黒澤監督は村人全員の家族構成表をつくり、出演する俳優・エキストラ一人一人を割り当て、いつ何時もその家族単位で行動させた。そうする事で、本当の家族のような雰囲気が自ずと出来上がったのである。
またアクションシーンをいかに迫力あるものにするか。撮影所が雪に見舞われ、急遽、降りしきる雨とぬかるみの中での戦闘シーンへと予定を変更。そして当時初めての試みであった、複数のカメラで別々の地点から同時に撮影し編集する、マルチカメラシステムを導入。結果すごいアクションシーンになった。
さらにテーマ音楽は、音楽担当の早坂文雄が作った20曲以上もの中から、選定したという。驚くべき事に、この頃、早坂文雄はすでに余命いくばくもなかった。(映画公開翌年死去)
これら映画製作の過程の一部ですが、この映画づくりに対するエネルギーは常軌を逸しているほど凄まじいものがあります。そうした監督のエネルギーにスタッフ・出演者たちが呼応し、すべてが一体となって、この名作ができあがりました。
天才とは、常人にできない異常な努力を重ねる事ができる人・・・そういった意味での天才によって生み出された最高傑作が『七人の侍』なのです。
※さらに、映画の内容・見所については、姉妹ブログのおすすめ映画 『七人の侍』をご参照ください。
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『七人の侍』 1954(昭29)年公開 207分
【脚本】黒澤 明、橋本 忍、小国英雄 【撮影】中井朝一 【音楽】早坂文雄
【出演】志村 喬、三船敏郎、木村 功、宮口精二、加東大介、千秋 実、稲葉義男、
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